市販後管理部門

  安全性の仕事


市販後業務の主体は安全性であり、会社によっては安全性にのみ医師を配置するところもある。最近医師を採用する企業は増えてきているが、まず始めに医師の配置を必要とする業務として安全性の部署を考えているようだ。この仕事では、やはり時間の大半を実際報告されてきた有害事象症例の評価およびそれに基づく報告書のレビューに費やす。実際には、薬剤師を中心とする理系の教育を受けた社員が始めに評価し、作成した報告書をレビューする形になる。かつては自分自身ですべての症例に目を通してきたが、それを行うと1日がつぶれるほどである。弊社の場合、多い時期には国内外を合わせて月に1500-2000件を処理している。マニュアルが整備され、社員の熟練度があがってきたので、今では問題症例のみへの集中が可能になった。しかしここにいたるまでの道のりは長かった。今の部署を作り、人を採用してから、約3年で何とか第1段階をクリアし、1週間程度の休暇を安心して取れるようになった。もちろん休暇をとっても連絡先はいつも明らかにして、いつ何時呼び戻されるかわからないのではあるが....この仕事の特徴は、予測できないことと終わりがないことである。

上記の症例の評価・報告はあくまで仕事の導入部分であり、このような情報が集積されてさらに本格的な評価がなされるのである。例えば弊社では週に1度は必ず安全性審査会を開き、社内にいる医師および各部のラインマネージャーで問題となっている安全性情報に関する検討を行う。個別の報告書検討もあるが、集積された症例の検討およびそれに伴う当局対応を含めた企業の対応などを検討する。つまり集積した情報の評価で添付文書の改訂などを行うかどうかの検討である。これが安全性情報管理の仕事の中心である。

実際の症例の作業以外に安全性に関連する仕事としては、データベース作成、社内での医学辞書管理、社員教育、市販後の調査等でのプロトコール・調査表のチェック、添付文書改訂作業であろうか。さらにいうならば、実際の報告医訪問、専門医への相談、厚生省訪問に同行することもある。外資系ではまた、本社とのやり取りも大きな仕事である。日本企業でも海外進出している場合や海外に提携先がある場合には、当然そことのやり取りがある。欧米の企業には医師が多く、安全性にもかなりの数の医師がおり、そことの連絡、交渉はやはり医師がすべきであろう。

そして仕事をすればするほど、安全性の仕事はこう改善すべきなどと思うことが多くなり、製薬協を始め業界団体で規制を作ることに関与していくことになる。規制作りは当局だけで行うのではなく、業界との共同作業であり、そこへの関与の機会が得られれば日常業務での矛盾の是正につながるのである。

このようにして、安全性の仕事は広がっていくのである....

 

会社に入って気づくこと
  ○時間
 

外資を含め会社の多くはフレックス制である。特にコアタイムのなかった弊社では会議などがない限り理論的にはいつ来て、いつ帰ってもよかったのである。大半の社員は9時半頃をめどに出社する。帰りは夕方6-7時ごろが多いようだ。医療機関との違いは、特殊な場合を除いて夜間に仕事をすることはなく、よびだされることもまずない。

  ○社内の医師
 

弊社は過去30年間にわたり常に社内に医師がいたため、その存在は自然である。しかし今までに医師を採用したことのない企業では、どのように扱ってよいか、どのような仕事をさせるかがわからず、結果としてうまく行かないときもある。企業側・医師側ともに問題のある場合が考えられるが、製薬企業の医師総数が増えてくれば互いに慣れるであろう。実際、最近企業内医師数が増加してきていることを考えれば、恐らくもう少しすると医師を特別視することも少なくなるであろう。医師の側も会社員になるということは、「先生」と呼ばれないことになれることと考えるべきであろう。

社内に医師が増えてくると専門性も分かれていろいろな意見も集められ、さらに必要な場合に外部専門家へ意見を求めるのにつてが多くて助かるということも言えよう。ただし、気をつけないと個性の強い医師が多いとその間でのトラブルも起こりうる。会社も採用する場合には、よく検討すべきである....

  ○オフィス
  弊社は新宿の高層ビルの中にあり、各フロアは大きく2つに別れているだけのだだっ広いオフィスである。個室があるのは役員だけで、社員は低めのパーテーションで区切られた席である。ちょっと目に付くのがひときわ高いガラスのパーテーションで、個室のない医師の座席周りに見られる。なぜか特別に2mくらいの高さで、席の周りを70%くらい覆っており、防音機能もない不思議なものである。医師自身は特別視されないほうが業務上うまく行くと思っているが、このパーテーションは他の社員にはどう見えているのだろうか。